Warning: preg_match(): Unknown modifier 'p' in /home/xs006605/hiroyuki-tahara.com/public_html/wp-content/themes/hiroyuki-tahara/functions.php on line 194
HIROYUKI TAHARA - Eye-Sightトレーラー

Eye-Sightトレーラー

モックアップ画像

サンフランシスコにある美術大学AAU(Academy of Art University)で開催された、若手カーデザイナーを対象としたデザインワークショップに株式会社SUBARUの代表として参加してきました。このワークショップでは、現地でのフィールドワークを通じて、自分自身で設定した課題に取り組み、導き出した考えや仮説のプレゼンテーションを行いました。

カーデザイナーの間では「モノ(商品)よりコト(体験)」という表現がよく使われます。しかし、現実には商品を作り、販売することにどうしても集中してしまうのが現状です。私はこの現状を変え、商品そのものではなく、体験そのものを作り出し、それを提供・販売するという考え方にシフトすべきだと考えました。この信念のもと、今回のワークショップで私が設定した課題は以下の3つです。

①SUBARUにしか提供できない「楽しい体験」とは何か?
②その体験を実現するために必要なもの(車、販売店、展示ブース、イベントなど)は何か?
③それらを可能にする機能、デザイン、サービスはどのようなものか?

私は「Earth(地球)」と「Entertainment(エンターテインメント)」を組み合わせた造語である 「Earth-tainment Gear」 をコンセプトに掲げました。このアイデアは、「地球を舞台にした楽しさを提供するツール」という意味を込めています。そして、この体験を実現するためには、SUBARUが協力するべきパートナーを考えた結果、私はアメリカのアウトドア用品チェーンREIに注目しました。

なぜREIなのか?

それは、SUBARUとREIの間には共感し合える多くの価値観があるからです。両者の公式ウェブサイトにも書かれているように、SUBARUもREIも「自然との共存」や「お互いを成長させるコミュニティ」を大切にしています。自然を守りながら、その恩恵を楽しむという理念は、SUBARUとREIの強い共通点です。

Artwork

アートワーク01
アートワーク02
アートワーク03

次にユーザー像(ペルソナ)を考えました。彼らはアウトドアのシーンやさまざまなギアを試すことにワクワクする一方で、日常生活では必要最低限の持ち物でシンプルに暮らしたいという願望を持っています。しかし、必要なギアを全て揃えるにはコストがかかり、保管場所や管理の手間がかかるというのが彼らのペインポイントです。

これを解決するために、私は「Eye-Sightトレーラー」を提案しました。

アートワーク04
アートワーク05
アートワーク06

このトレーラーは、旅行に必要な道具を必要な分だけ運べる仕組みを備えています。また、SUBARUの先進運転支援技術「Eye-Sight」を活用したクルーズコントロール機能が搭載されているため、誰でも簡単に安全かつ安心して牽引(利用)できるのが特徴です。さらに、トレーラーは六角形(ハニカム構造)を基盤にした堅牢なデザインで、スケーラブルな機能とサービスを実現しています。

Eye-Sightトレーラーを使うためのサービスは非常にシンプルです。旅行の1週間前に専用アプリで必要な道具を選び、集合場所を決めるだけ。これらのサービスは月額10〜20ドルで利用可能です。利用できるギアの種類や組み合わせは無限大です。それにより、アウトドア体験の楽しみ方も無限に広がります。

このように、データを提供するのではなく、提供する価値から新しいデータが生まれる仕組みを目指しました。

アートワーク07
アートワーク08
アートワーク09

さらに、このトレーラーを通じて旅行中に出会った人々やギアとつながるシステムも考案しました。この仕組みによって、単なるモノとしての価値を超え、体験そのものの価値へと昇華させることを目指しています。

アートワーク10
アートワーク11
アートワーク12

このワークショップを通じて、私はSUBARUの「体験価値」を軸に据えた新たなデザインアプローチを探求しました。「Earth-tainment Gear」というコンセプトのもと、ユーザーの生活に寄り添いながら、SUBARUならではの「日常を超える楽しさ」を形にするための提案を行いました。このプロジェクトは、ただのアイデアではなく、SUBARUの未来を支える新しい可能性を示す一歩です。

私がSUBARUのカーデザイナーとして働いている間に、このアイデアが具体的に実現することはありませんでした。しかし、私が退職した後、提案した「Eye-Sightトレーラー」はアメリカで特許出願され、現在も開発研究が進められています。このように、自分が関わったプロジェクトがその後も進化を続けていることは、大変誇りに感じています。SUBARUの未来に貢献できたことは、私にとってかけがえのない経験です。

DATE
2019
CLIENT
株式会社SUBARU
URL
-
TAGS
Product Design / Branding
TOP